配送のタイムスケジュールを管理することは、運送業者にとって、また輸送を必要としている企業や社会全体にとって、最重要課題のひとつです。配送に遅れが生じれば、生鮮食品であれば鮮度が落ちますし、部品の到着が遅れることで製品の製造の遅れ、さらには納品が間に合わず小売店では販売の機会を失ったり、個人客からのクレームに追われたりすることもあるでしょう。荷物を待っている顧客に迷惑をかけるのはもちろん、発送元の信用への影響も大きく、場合によっては補償問題まで発展する可能性も……。「たかが遅延」と看過できない問題なのです。
「在庫に余裕を持たせる」という選択をすれば、配送の時間に気を揉まなくても済むかもしれません。しかし、保管スペース確保の問題(とくに都市部では広いスペースがなく、あっても賃料が高い)や在庫を抱えるリスク(余剰在庫になってしまう可能性がある)などもあり、現在のような「必要なときにすぐ届く物流システム」へのニーズが高まってきたのです。
配送遅延が発生する原因
配送遅延が発生する原因は、大きくわけて3つあります。
荷主の問題
荷積み・荷下ろしのスペースと時間をコントロールできておらず、待機時間が発生してしまう
交通事情
渋滞によって、移動時間が長くなってしまう
配送ルートの効率化ができていない
到着時刻の予測が不正確で、受け入れ準備のタイミングがズレてしまう
上記のような要因が重なって「配送遅延」は起こります。逆に言えば、それぞれの要因を少しずつ見直すことで、配送遅延の頻度を大幅に減らすことができるのです。
具体的な対策
具体的な対策を、荷主と配送業者、それぞれの立場で考えてみましょう。
荷主側の対策
・バース(荷物の積み下ろしスペース)を的確に管理する
積み下ろしにかかる時間を把握して、無駄なく、スムーズにバースを活用する
→そのためには、バース管理システムを導入することも有用
・発荷主は、積み込む荷物を準備しておく(とくに製造業)
荷物の準備の遅れが、積み込みの遅れ、出発の遅れにつながる
ドミノ式の遅れを発生させないよう、事前準備を徹底
・誘導を速やかに行う
道路からの入庫、バースへの誘導、道路への出庫などをスムーズに行うことで時間を短縮できる
配送業者の対策
・配送を効率化する
道路状況なども考慮しながら、ゆとりを持った配送計画を立てる
・荷主との情報共有
トラックの位置情報を共有することで、荷主サイドがトラックの受け入れ準備を最適なタイミングで整えることができる
さらに、運送業者の対策については、配送計画システムを活用することで大幅に精度をあげることができます。『ODIN リアルタイム配送システム』では、以下のようなことが可能です。
ODIN リアルタイム配送システムでできること
・位置情報を荷主と共有する
たとえば、トラックが工場や倉庫の半径500mに到達したら自動で通知するなど、人間の手を介さずに正確な情報を共有することができます。バースの状況を見ながら、余裕を持って受け入れの準備をすることができるようになります
・最適ルートの計算
交通規制や交通規制などの情報を考慮しながら、最適な配送ルートをリアルタイムで計算し、更新。交通事情による遅延を減らすことができます
・待機時間の管理
スマートフォンのGPSを利用して配送の効率化をするアプリ「ODIN リアルタイム配送システム」で、ドライバーの待機時間を管理することが可能です。ドライバーがアプリ画面でステータスを「移動」「待機」「休憩」などに切り替えることで、各ドライバーの稼働状況をリアルタイムで把握できるようになります。どこで、どのぐらいの待機時間が発生しているか記録できるため、全体の計画を立てる際にも役立ちます。
まとめ
配送の遅延をできる限り発生させないようにすることは、荷物を発送する側にとっても、受け取る側にとっても、配送業者にとっても、メリットが大きい施策です。しかし、「物流」というシステムが、運送会社やドライバーの事情、交通状況、発荷主、着荷主の受け入れ体制などさまざまな要素が絡み合っているため、「運送会社ががんばれば解決する」という問題ではありません。関係各社が問題を認識し、一緒に取り組んでいかなければ解決することはできないのです。配送システムのデータを共有しながら効率的に配送を行うことで、結果的に配送遅延は減少します。
ドライバー不足に悩む配送業者さんも多いなか、業務の効率化が経営を支えていくのはまちがいありません。もちろん、配送遅延の改善も大きな負担軽減につながります。物流専用のシステムを活用しながら、配送の信用構築と従業員のケアをうまく両立させていきましょう。